2023-03-01から1ヶ月間の記事一覧

一日の価値

隣のオヤジが広げる新聞紙 目の前の香水臭いおばさん スマホゲームが音漏れする学生 がんがん当たる女子高生の鞄 しかも通路側だ 理不尽だ たった15分で 一日の価値は決まる

カラオケの帰り

初めて友達とカラオケに行った帰り 団地の明かりは消えていた 何だか寂しくて でも みんな寝てんだって思うと かわいいなあ と思った

キャッチボール

子供の頃 早くおとなになりたいと いつも思っていた おとなになって 子供に戻りたいと 思ったことは一度もない 変化球なし 混じりけなしの直球 気づけば 周囲の顔色をうかがい 変化球を覚え 肩を壊し フォームを変え きれいな真っ直ぐを放れなくなった 河川…

無謀

バイトの夜勤明け まだ三時で 始発まで どう時間を潰すか 冬だし 店はどこも空いていない とりあえず駅まで歩く 雨なんか降らないと信じ込んで 傘も持ってない 結局 そのまま歩いて帰る そんな無謀さが懐かしい

彗星

いつ来るとも知れないものを待っていた 二人無言で 夜空を見上げて たまたま それが降る日で たまたま その時付き合っていて たまたま 予定が空いていた でも それ以上の奇跡は起きなかった 道行くカップルはみな 彗星を捕まえた人達だ

プレゼント

彼女からプレゼントを貰った 「開けてみて」 開けたら汚い石が入っていた 「あなたのその顔が好き」 その顔のまま無理矢理微笑んだ 石は今も飾ってある 彼女はいない

袋の中

階段でつまずいて 持っていた袋を落とす バラバラになったチーズとワイン 袋のネズミも遠慮する この時ほど 素面であることを後悔したことはない

目の前の会話

ねえ さっきから何なめてんの? これ? ブドウ糖 ふーん いる? え いいわ あ やっぱちょうだい 相手の真意に気づき難を逃れる 貰えるもんはもろとけ

歌詞と魔法

今まで 何気なく聞いていた曲 その歌詞のワンフレーズの意味が 突然 頭にパァーと降ってくる時 嬉しさと同時に ふがいなさ レベルアップしないと使えない魔法 歌はそういう装置なのかもしれない

確認

テレビやスポーツを見ながら ツイッターをチェックして 自分の感性が正しいのか マジョリティなのかマイノリティなのか 確かめて 安心する そうしてる間に 本質は見落とされていく

謝罪と賠償

俺をいじめていた あいつは 今ごろ どうせ家庭持ちのいいおっさんだ 俺をいじめたことなんて忘れて 毎日 しこしこ いまだに 謝りにこない だから俺も許さないでおこう

酢の物

その日は給食で出た 酢の物が食べられず 教室に一人残されていた みんなが体操服に着替える中 向けられる視線 大嫌いなキュウリが飲み込めず 溢れそうになる唾液 どうせ「もういい」と先生は ため息まじりに食器をひったくるのだ それを思うと涙がでた

孤独死とは

誰にも看取られず亡くなることを 孤独死という 言葉だけが独り歩きして その人が生きてきたすべての時間を 黒塗りにしているように思う 一人でも孤独にさいなまれることなく 静かに死を迎える人もいる 路上で一人突然倒れることは 孤独死にあたらないのか 人…

手羽先

昔 世界の山ちゃんに行った時 友達と手羽先の食べ方で揉めた 掴み合いになりながら 「ならお前はアイスのコーン残すんか!」 こんな訳の分からないことを言うくらい お互い相当酔っぱらっていた

豊かさと貧しさと

会話は わらしべ長者に似ている 多くの人と出逢えば 話題は豊富になっていく

羽ばたく

食うや食わずで 寝床もなく 蚤と虱に悩まされ 終始 周りに注意を払う それでも鳥になりたいか?

カクテル光線

夜 一人で座ってたら 突然 かわいい娘に 「あの ビールでも飲みませんか」 って 言われたから 「それじゃあ」 って 球場のビールは高い

誰のせいか

ただ球蹴ってるだけじゃん みんな同じ顔に見える これのどこが面白いの 分かりたい理解したいのにそれが出来ないと どうして否定的になってしまうんだろう

拾得物

スーパーやコンビニの駐車場で よく硬貨を拾う 落とし主は 音で気づかなかったのかと いつも不思議に思う 硬貨を店員に渡すのは 落とし主のためでなく ちっぽけな自分の何かのため だから 今日も下を向いて歩く

何も変わらない

学生時代 毎日 同じ時間 同じ席 同じ顔で 社会に出ても 毎日 同じ時間 同じ席 同じ顔 何も変わらない

余計なもの

「そんな人だとは思わなかった」 「あなたのこと誤解してた」 どっちも口に出さなくていい 胸の内にしまっとけ

檸檬

唐揚げに添えられたレモン 搾ってしまえばレモンでなくなる 果汁を守るための器がレモンなら パックのジュースも レモンになる

妄想

ヤフーニュースのコメント欄や まとめサイトの書き込みを見て ごくごくまれに もしかして 誰も書き込んでないんじゃないか 運営側がAI で作成してるんじゃないか そこからさらに飛躍して 自分以外の人間は存在しないんじゃないか 妄想する時だけ 頭は光速に…

行列に並ぶ

食事のために行列に並ぶとする 値段が高ければ 待ち時間は最高の調味料になる 安いと ひどく不味くなる 安いものは早く美味くなけらばならない というご都合主義が刷り込まれているから だから 流行っていない安い店に行くが 大抵そういうところは不味い 待…