白日

これは書き残すか、忘れてしまった方がいいのか
迷ったけど、書き残すことにする。

先日、某飲食店を訪れた。
昼時ということもあって人が多く
待ち合いスペースで待っていた。
5分くらいでカウンター席に案内され
座って待っていた。
その店は店員さんがお茶を持ってきてから
注文をとるシステム。

10分くらい経っただろうか
まだお茶がこない。
さらに5分経って
自分の後に席についた隣のお客さんの
食べ物が運ばれてきて
さらに10分経って
隣のお客さんは食後のお茶を飲んでいた。
カウンター越しに
女の店員さんが立っている。
「自分のこと、見えてないのかな?」
何て思いだした。

初めて遭遇する状況に
どう対処していいのか分からず
そりゃ多少は腹もたったけど
店も混んでたし、店員さんもテンヤワンヤで
そういう状況を見ていたら
仕方がないと思って
ここで大声出して怒っても
他の人の飯が不味くなるのは
嫌だった。

店員に声をかけるべきでは?とも
思ったけれども
お茶が運ばれて注文という流れだし
店を信用していたので
いつかはいつかは、と待って
10分過ぎたところで
「絶対、自分からは声かけんもんね!」
という意地みたいなものが生まれた。
それからグルグル鳴る腹を抱えて
ひたすら席に姿勢よく座る
面倒くさい客になったのだ。

店員さんが気がついた際には
憎まれ口のひとつでも 
言ってやろうか、と
色々頭の中で想像して
時間を潰すという無駄なことをしていたが
店員さんに一声かけられぬ人間が
憎まれ口など吐けるわけもない。

結局、無言でその店をでた。
店員さんからのお礼の言葉も
当然なかった。
それは会計した客に送られるものだから。
ただ、注文もせずに席に姿勢よく
座った人間が帰っていっただけだから。

明らかに店が悪いんだけど
ただ飯を食うのに
肝が小さく、意地っ張りな自分の人間性
なにゆえ白日のもとにさらさなければならないのか、と
釈然としない気持ちになった。